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アイメイトの一生

イラスト:犬の足跡繁殖奉仕
アイメイトは、繁殖奉仕と呼ばれるボランティア家庭で産声をあげます。
父親犬と母親犬は、アイメイト協会が独自に確保した優秀な犬で、繁殖は計画的に行なわれています。
赤ちゃんの名前は、繁殖奉仕の仕事のひとつです。将来、使用者がアイメイトを呼んだときに、たまたま周囲に居合わせた他の犬や人の名前と同じだと困るので、チャンピイやベルナといった、ちょっぴり変わった名前をつけられます。


イラスト:犬の足跡飼育奉仕
生後まもなく(約2ヶ月)、仔犬たちはそれぞれ飼育奉仕と呼ばれるボランティア家庭に預けられます。
小さな子供やお年寄りなど、いろんな世代がいっしょに暮らしている家庭で過ごします。
この間には、特別なしつけをすることよりも、さまざまな人たちに触れ、愛情をたっぷりと注がれる飼育奉仕の環境の中で育つことで、将来アイメイトになった時の、社会への適応性や、安定した情緒などを育んでいきます。



イラスト:犬の足跡訓練
1歳を少し過ぎた頃、大きくなった仔犬たちは、飼育奉仕の家族のもとを離れ、いよいよアイメイト協会で一人前のアイメイトになる訓練が始まります。
まずは1ヶ月をかけて、聴力をテストしたり性格を見極めたりして、アイメイトとしての適正があるかどうかの判断、問題がなければ協会の歩行指導員というスタッフに預けられ、アイメイトになるための、厳しい訓練がはじまります。
訓練は大きく三つに分かれます。
一つ目は、アイメイトとして必要な科目を教え、人に従う心と学ぶ姿勢といった基礎をつくる「基礎訓練」です。
二つ目は、ハーネスを装着し、視覚障がい者が歩くときに障害や危険となるものを知らせたり回避したりできるようにする「誘導訓練」です。
そして、三つ目は、歩行指導員が自ら目隠しをして行う「仕上げおよびテスト」です。

訓練では、男女どちらも言い方が同じで、周りの人が聞いてもきつく感じない簡潔な言葉として、英語が使われます。
およそ120日にわたる訓練を終える頃には約30もの命令を聞き分け、それに従うようになっています。
「カム(おいで)」「スィット(お座り)」「ダウン(ふせ)」「ライト(右)」「レフト(左)」「ゴー(前進)」「ドア(ドアノブを捜して鼻を付ける)」「チェアー(椅子を捜してアゴをのせる)」などです。
ただし、命令に従わないほうが正しい場合もあります。
「ゴー(前進)」の命令を出しても、車などが近付いて危険なときは、一歩もそこを動かない。これを『利口な不服従』と呼んでいます。
また、樹木の枝や看板類など、犬の高さでは通れても人間にはぶつかってしまう障害物がありますから、それらを危険だと判断できるようにしなければなりません。
どちらも歩行指導員が、根気よく教え込んでいきます。
犬は、飼い主の喜びを自分の喜びとし、教えられたことは忠実に守っていくのです。


イラスト:犬の足跡歩行指導
訓練が終了すると、いよいよパートナーとなる視覚障がい者とともに4週間にわたる合宿形式の歩行指導を受けます。
アイメイトとの歩き方の基本を習得するために 街中のコースを歩行指導員と共に歩きます。
1日に歩く距離は、1週めは2〜3kmですが、少しずつ増やしていき、4週めになると5〜10km。4週間でじつに130kmもの行程になります。

また、一人の責任ある社会人として、アイメイトと暮らすためにさまざま講義も受けます。
内容はアイメイトの心理や健康・衛生管理など、犬についてのことだけではなく、生徒自身の日常生活指導にまでおよびます。
たとえば、骨のある魚の食べ方、フォークやナイフの使い方、日没後は部屋の明かりを点けることなど。視覚障がい者として自立し、社会に融け込むための姿勢を大切にしているのです。

こうして26日目に、これまでの歩行指導の成果が試される「卒業試験」が行われます。
吉祥寺から東京駅に行き、有楽町で下車し、銀座4丁目から京橋方面へと銀座通り沿いを歩き、4つめの交差点で銀座通りの反対側歩道へと渡り、銀座4丁目交差点の三越前に折り返してくるというコースです。
華やかなショーウィンドウが連なり、道行く人で賑わう街並みを、一歩ずつアイメイトとともに歩きます。
無事三越前へと戻ってきたとき、この4週間で初めて、歩行指導員の厳しかった表情が笑顔へと緩みます。

28日目の卒業式では、パートナーとなる視覚障がい者には盲導犬使用者証が授与されます。

こうして、正式に「アイメイト使用者」になり、アイメイトとともに一人で電車に乗り、それぞれの自宅へと帰り、アイメイトとともに歩く生活がスタートします。
アイメイトとともに歩くことで、生活に変化が生まれ、色々な可能性が引き出されていくのです。
子育てしている人、仕事をしている人、大学に通学・海外に留学した人、富士登山した人、国内・海外旅行をした人などなど、これまで不可能であったことを、アイメイトとの生活によって可能にしています。


イラスト:犬の足跡リタイア奉仕
アイメイトも歳をとり、階段の上り下りが辛そうになったりして、アイメイトとして活躍するには体力的に充分でなくなったとき、長年の大役から引退し、犬好きの家庭に引きとられます。そこで、家族の一員として、温かな愛情と優しいいたわりの中でゆったりと過ごします。


横浜アイメイト支援基金